診療科・各部門のご案内

麻酔科

ハーイ、麻酔科です。

山形県立河北病院麻酔科をご紹介いたします。
Q&A形式にしました。

問)河北病院麻酔科が特に力を入れていることは何ですか?

答)ひとつご紹介いたします。
それは全身麻酔を応用した気管支鏡検査(経気管支肺生検)です。臨床例を見ながらご説明します。

写真1
 
 写真2
 
写真3
 
図1
 
図2

 皆さんは検診等の胸部レントゲン撮影で肺に影(写真1:青矢印)が見つかったらどうしますか?
 恐らく精密検査ということで病院受診を勧められます。そこで撮影した胸部CT検査で赤矢印のような影だとします(写真2)。この影が一体何なのかを調査しないとその先に進めません。すぐに治療が必要なものなのかそれとも様子見でいいのか、という見極めです。
 ところが相手は肺の中です。調べること自体が大変です。直接この影の正体を調べるために行うのが気管支鏡(写真3)による検査ということになります。
 検査の中味を難しい言葉で言えば「経気管支肺生検」と言います。生検とは組織のほんの一部(米粒よりずっと小さい)を採取して検査することです。どんな検査かというと、採取した組織を染色(細胞を観察しやすく色づけすること)して病理学専門の先生に顕微鏡で診断して戴きます。
 この肺組織の生検という行為自体が結構大変なんです。
 具体的にはお口から内視鏡(図1)を入れます。食道ではなく気管に入れます。そしてさらに先にまで入れてこの影の一部を摘んできます(図2)。
 摘んだ影の一部は米粒よりも小さいので顕微鏡で拡大して細胞の顔つきを調べるわけです。悪性腫瘍なのか炎症なのか等々病理学専門の先生に調査して戴くわけです。
 で、なんで麻酔科なんだという話です。
 この検査は気管の奥にまで内視鏡を入れるので咳き込んだり、血圧が上がったり、心拍数が増加します。皆さんも気管に水か何かが入ってむせ込んだ事があるでしょう。たった一回入っただけなのにむせりがなかなか止まらなかったという経験をお持ちかと思います。検査は内視鏡を入れて一瞬で終わるわけではありません。30分程度つらい時間が続くのです。つまり検査を受けること自体が難儀なんです。
 心臓病や脳梗塞の持病をお持ちの方はとくに心配でしょう。じゃあ、麻酔すれば、となります。その通りです。多くの施設では口の中から気管まで、内視鏡の先から局所的に麻酔薬(局所麻酔薬といいます)を行ってこの検査を施行します。むせたらその場所にまた局所麻酔を投与します。これを繰り返します。それでもむせます。しかも局所麻酔では眠りません。意識がありますので検査のストレスをいろいろ受けるわけです。
 実際のデータを見ましょう。麻酔方法の違いが血圧と心拍に与える影響をみました。局所麻酔では上の血圧は180位、心拍も120位まで上昇しています(グラフ1)。
 そこで河北病院の麻酔科ではこの検査に全身麻酔を提供することにしたのです。手術の時に使用する麻酔薬と全く同じ麻酔薬を用いるし、手術麻酔と全く同じ危険がありますので厳密にかつ慎重に麻酔管理しなければなりません。そこで2007年から7年間、慎重に一例一例コツコツ検証しながら現在に至っております。現在も、より安全な麻酔管理方法がないか常に考えています。この麻酔管理やっているのは私の知る限り山形県では河北病院だけです。
 全身麻酔では眠っているうちに検査が終わります。先のデータを見てください。全身麻酔では血圧が100未満、心拍60程度と安定しています(グラフ2)。
 現在はどなたにでも全身麻酔を提供している訳ではありません。例えば、高血圧の方、脳梗塞の既往のある方、心房細動のある方、過去に内視鏡検査(胃、大腸・呼吸器など内容を問わず)でつらい思いをされた方を対象にして慎重に全身麻酔を提供しています。
 手術の麻酔以外になぜそんな面倒な事に首を突っ込むんだという質問がきそうです。その心は県民の安全安心に少しでもお役に立てればという思いです。

 
グラフ1
グラフ2

 この経気管支肺生検は呼吸器内科医が行います。私どもの病院では呼吸器内科医の常勤医師はいません。そこで呼吸器内科医である板坂美代子先生(板坂医院 0237-71-1200)にご協力をお願いしてあります。河北病院にお越し戴き、麻酔科医と共に共同で経気管支肺生検を行っております。
 検査を受ける方の安全を最優先に考え、手術室で検査を行っています。なぜ手術室なのかという疑問があると思います。それは麻酔科医が普通に働く環境が手術室であり、手術室の看護師は緊急事態に慣れています。全身麻酔という一定の危険性のある医療行為は、麻酔科医がそして手術室看護師が慣れている手術室という環境で行ったほうが安全だと確信しています。
 河北病院では全身麻酔下経気管支肺生検は2泊3日で行っています。検査後の全身観察も含めこの日程を設定しました。全ては安全のためです。

問)医師不足ですが麻酔科医も少ないのですか?

答)はい、少ないです。
西村山地域1市4町には病院が4つあります。河北病院には(社)日本麻酔科学会が認定した麻酔指導医が二名常勤しています。しかし他の病院にはいません。つまり西村山地域全体を見ても麻酔科医は二名だけというのが現状です。

問)そもそも診療所で麻酔科の看板を見かけることがほとんどありません。なぜですか?

答)麻酔科という診療所の看板を掲げるには厚生労働省の許可を得なければならないのです。
これは医療法という法律に基づいて行われます。医師免許を得た上で一定の施設で一定の研修をして、厚生労働省から許可を戴くわけです。つまり18ある基本診療科のうち麻酔科は特殊な診療科なのです。特殊という意味は、麻酔科を名乗るには国家が認めた免許がふたつ(医師免許と麻酔科を許可する免許)必要という意味です。麻酔科は医師免許を持てば出せる看板ではないのです。それだけ危険性が高いので慎重にということでしょう。

問)大変そうですね。うまくいっていますか?

答)河北病院麻酔科は山形大学医学部麻酔科学講座と密接に連携しています。
人事配置はもちろん診療連携、学生教育など多方面でしっかりと手を組んで活動しています。麻酔科のうち一名が管理職(院長)を兼務しているので充分な業務環境とは言い難いのが現状です。しかし、その環境下でも安全を最重要視して取り組んでいます。

問)具体的に何をしているんですか?

答)二名体制でかつ病院全体の業務もありますので安全第一に守備範囲を考えています。
主に手術時の全身麻酔を担当しています。河北病院は地域の基幹病院として、安全安心な手術環境の整備に努力しています。お腹の異常事態や骨折などで緊急手術が必要な場合があります。西村山地域で麻酔科医がいるのは河北病院だけですのでしっかり対応して参ります。

問)手術の後は痛いのでしょう?

答)麻酔科医は全身麻酔を提供していますので手術中は痛みなく眠っています。
私どもは過去手術後の痛み対策に重点を置いて診療してきました。そのため手術の種類と必要な鎮痛剤との関係を明確に把握できるようになりました。常に鎮痛対策を念頭に診療しております。こうした日常の診療内容は(社)日本麻酔科学会学術集会を始めとする各種学会・研究会等で発表して情報公開に心がけています。つまり、自分の診療行為が本当に正しいのか、チェックする意味も込めて院外の第三者の目に触れるようにしております。

スタッフ

氏 名 多田 敏彦(昭和54年卒)
役職等 院長、厚生労働省認定麻酔科標榜医、日本麻酔科学会専門医・認定医、日本麻酔科学会指導医、日本ペインクリニック学会専門医、日本医師会認定産業医、医師臨床研修指導医、緩和ケア研修会修了
氏 名 横尾 倫子(平成7年卒)
役職等 手術部副部長(兼)医療安全部副部長、日本麻酔科学会指導医・専門医、日本ペインクリニック学会専門医、医師臨床研修指導医、緩和ケア研修会修了、ICD

専門医制度施設認定

  • 日本麻酔科学会麻酔科認定病院